読書と国語の力①


 私たちは言葉を用いて物事を考え、理解します。また自分の考えや気持ちを表現したり、伝えたり、相手の感情や思いを受け止めたりする際にも言葉が介在します。言語能力は、あらゆる知的活動やコミュニケーションの基礎になるものです。国語は、こうした言語能力を養う重要な基礎教科であることは、申し上げるまでもないでしょう。また国語以外の教科を習得するときにも、教科書などに書かれている文章を読み、内容を理解しなくては学んでいくことが難しく、国語で身につける力がいかに大切かわかります。


 公文式学習の創始者である公文 公(くもん とおる)は、かつて高校の数学の教師であり、子どもの頃から算数数学が好きで得意でした。しかし、国語は嫌いではなかったのにあまり良い点数を取ることができなかったそうです。そして後に、自分の子ども時代の読書量が十分でなかったのではないかと気づき、もっと本を読んでおくべきだったと大いに悔やんだそうです。


 そこでわが子の教育にはまず国語教育から取り組みました。中でも読書こそすべての学びの根源と考え、とにかく本をたくさん読ませることによって、例えば日本史や世界史を、単なる社会科の暗記物ではなく、読書による知識の習得として学ばせたいと願ったのでした。


 読書の秋に、読書と国語の力について、3回のシリーズでお伝えします。

   参考文献:公文公教育研究所編『公文式がわかる』改定版(2010年 くもん出版)